ホテル業界における計数管理について

ホテルマネジメント 「喜」

ホテル業界におけるスタッフの計数管理レベルについては、各ホテルや部門によって異なるものの、一般的な傾向として以下のような状況が見られます。

 1.スタッフの計数管理の役割

ホテルでは、管理職が主に全体的な予算や人員配置、収益などの計数管理を担当しますが、管理職以外のスタッフにも日常的な計数管理の役割が求められます。これには以下のようなレベルがあります。

a.客室清掃スタッフ
客室清掃スタッフは、1日あたりの清掃件数(部屋数)や時間管理が求められます。ホテルによっては、1人あたりの担当客室数やその時間を計測して、生産性を管理することがあります。
清掃用具や消耗品の管理: 必要な消耗品(アメニティ類、リネンなど)の消費量を管理し、適切な在庫管理が求められます。

b.宿泊部門スタッフ
宿泊部門スタッフは、客室の予約数や残室数を確認し、予約受注や今後の販売方針を立ててプロモーションをかける必要があります。また、当日のチェックインやチェックアウト件数を把握して、適切な人員配置等の準備をする必要があります。それによりサービスのスムーズさや顧客満足度を向上させることが目指されます。宿泊部門スタッフは、売り上げや客室の稼働状況を把握し、予約の増加やアップグレード提案などを通じて、収益向上に寄与することが期待されます。

c.レストランやバーのスタッフ
レストランやバーのスタッフは、1日の売上や客単価などの計数データに関わることが多いです。スタッフは実績やその他イベント情報等に基づき、来店客数を予測し、適正な人員配置、適正な食材や飲料の在庫を確保し、収益拡大に貢献します。食品や飲料の消費量を適切に管理し、食材の無駄を減らすために努力することも、経費削減の一環として求められます。

2.計数管理が求められる範囲

管理職以外のスタッフに求められる計数管理は、通常以下のような範囲です。

 a.作業効率のモニタリング
管理職ではなくても、スタッフは自身の作業の効率性を意識して計数を管理する必要があります。例えば、部屋の清掃にかかる時間や、レストランでの顧客対応時間、バーでの注文対応のスピードなどです。
b. 資材の管理
スタッフレベルでの計数管理では、物品やリソースの消費量を適切に管理することも重要です。例えば、リネンや清掃用品、飲料や食材の使い方など、無駄な消費を避けるために、注意深く管理する必要があります。
 c.業績目標の意識
スタッフは自分の担当業務において、予算や目標(例えば1日に対応する客室数や食事の提供数、売上目標など)を意識し、それに基づいて日々の業務を遂行します。これにより、個々のスタッフが予算・目標達成のために努力する姿勢が求められます。

3.計数管理のツールやサポート

まず、デジタルツールの活用があげられます。 最近では、ホテル業界ではホテルシステム、OTAサイト、サイトコントローラー、POSシステムを用いて、各スタッフの業務データ(売上や時間管理など)をリアルタイムで追跡することが一般的です。これにより、管理職はスタッフのパフォーマンスを効率的に把握でき、必要なフィードバックを提供することができます。

次にスタッフの意識改革が需要です。 スタッフレベルでの計数管理には、定期的なトレーニングや意識改革が必要です。多くのホテルでは、スタッフに対して効率的な作業方法や計数管理の重要性について教育を行い、業務全体のパフォーマンス向上を図れていません。

4. 計数管理の課題

管理職以外のスタッフにも計数管理が求められる一方で、以下のような課題も存在します。
スタッフが業務に追われている中で、計数管理の意識を高めることは難しい場合があります。特に忙しい時間帯やシフト中は、数字やデータを意識する余裕がないこともあるため、サポート教育体制の強化が必要です。
 計数目標が達成されなかった場合、スタッフのモチベーションが低下することがあります。適切なフィードバックや報酬体系を設けることで、スタッフのモチベーションを維持することが重要です。
このように、ホテル業界において管理職以外のスタッフも計数管理に関わることも有り、業務効率の向上や収益の最大化に貢献しています。計数管理が適切に行われることで、全体的な運営がスムーズになり、顧客満足度や業績向上にもつながることが期待されます。

まとめ

経験上、ホテル現場では総支配人、各部門長以外で自身の日々の業務に積極的に計数管理を取り入れている人は多くないです。現場主義の感覚が主流を占め、お客様に迷惑が掛からないことを重視し、現場のオペレーション至上主義と言えます。そんな中でデスクに座って数字とにらめっこする人は必然的に少なくなります。また、部門長以外の管理職もどちらかというと現場主義であり技術志向であり、職人的でさえでもある。
入社してから体系立てて計数管理を学ぶ機会がないのも原因である。
数字に基づいた行動がとれないので、物事が抽象的、感情的になりやすい傾向がある。
ホテル業界の今後のマネジメント層を育てる為にも入社後早い段階で計数管理の教育をすることが必要である。また、昇格に応じてポジションごとにも計数管理の教育が必要である。

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