前回の記事で、当社が紙のタイムカードとエクセルからクラウド型の勤怠管理システムに移行した経緯をご紹介しました。今回は、実際に検討を進めるなかで「ここは事前に確認しておくべきだった」と感じた点を、チェックリストの形でまとめます。ホテル業ならではの観点が中心です。
ホテル特有の勤務形態に対応できるか
最も重要な項目です。一般的な勤怠管理システムは日勤前提で設計されているものも多く、ここでつまずくと導入そのものが行き詰まります。
・夜勤の日跨ぎ打刻(22時出勤から翌朝の退勤までを1勤務として扱えるか)
・明け休みや連続勤務の扱い
・客室清掃などで発生する中抜け勤務、1日に複数回の出退勤
・1ヶ月単位・1年単位の変形労働時間制への対応
・深夜割増・休日割増の自動計算
・職種ごとに異なる就業ルールを部署単位で設定できるか
打刻方法が現場で回るか
機能の豊富さより、現場の動線に合うかどうかで判断されることをおすすめします。
・共有端末で複数人が連続して打刻できるか
・ ICカード、生体認証、パソコン、スマートフォンを部署ごとに使い分けられるか
・私物スマートフォンが必須の仕様になっていないか
・通信が不安定な場所やオフライン時の挙動
・生体認証を使う場合の本人同意と情報の保管ルール
複数施設の運営に耐えるか
・ 施設ごとに管理者権限を分けられるか
・ 応援・ヘルプ勤務で他施設から打刻した場合の集計
・ 本社側で全施設を横断して確認できるか
コストとサポート
・ 料金が「登録人数」課金か「実際に打刻した人数」課金か(繁閑差の大きいホテルは後者が有利です)
・初期費用、オプション料金、最低契約人数の有無
・初期設定を支援してもらえるか(専任の情報システム担当がいない前提で考えます)
・サポートが電話対応か、メールのみか
・現在お使いの給与ソフトへ連携・出力できるか、その形式が合うか
労務コンプライアンス
・36協定の上限に近づいた際のアラート
・年次有給休暇の取得義務や残日数の管理
・客観的な労働時間の記録として残せるか(記録には保存義務があります)
・法改正時にシステム側でアップデート対応があるか
契約前に必ずやっておきたいこと
・無料トライアルで、自社で最も複雑なシフトパターンを実際に登録してみる
・現場スタッフ数名に打刻画面を触ってもらう
・導入開始は締め日の翌日に合わせる(月の途中からでは二重管理が発生します)
・既存のエクセルデータや有給残日数をどう引き継ぐか確認する
おわりに
振り返ってみると、判断を分けたのはカタログスペックではなく、無料トライアルで自社の実際のシフトを入れてみた時間でした。少し手間はかかりますが、この工程を省かないことが、導入後の後悔を防ぐ一番の近道だと感じています。


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